個人の飲食店が価格勝負をしてはいけないということについては、みなさんご存知かと思います。

価格勝負をしたら最終的に勝つのは大手資本のお店だからですね。

そして、

「だよね!個人店はやっぱ商品や接客のクオリティで勝負しなきゃね!」

と考える方が多いのではないでしょうか。

しかし、このことについては冷静に考えてみる必要があります。

一般的に、大手資本のチェーン店と比べて個人店の商品・サービスはクオリティが高いものが多いです。手作りにも関わらず安かったり、店員さんとお客様の距離もちかくて話しやすかったりなど。

でもですよ、そんなお店はたくさんあるわけです。飲食業のように飽和した成熟産業の場合、商品クオリティが差別化要因になることはほとんどないと言っていいです。厳密にいうと短期的には差別化要因になりえますが、それも他の強力なお店が現れるまでのごくわずかな間だけです。

そして、商品のクオリティアップに疲れ果てたお店が値下げ競争に走り、最後は体力が切れて閉店……。飲食店の大半がこの流れのとおりに開業3年ほどで廃業します。

なんでこうなってしまうのでしょうか?

その根本原因は、「商品クオリティを高めて、宣伝をがんばった(もしくは口コミを広めてもらった)結果、来店してもらうこと」をゴールとしてしまっていることが上げられます。

こう言うと「当たり前だろう。飲食業ってのはリピートしてもらってなんぼな商売だからな〜」と思う方も多いと思います。

そんな方でも「商品のクオリティが高ければリピートするだろう、接客が丁寧ならリピートするだろう」と考えいたり、「ポイントカードを作ればリピートするだろう」「SNSで定期的に情報を発信していればリピートするだろう」という考えに留まっている方が多いのではないでしょうか。

この考え方ってリーマンショック以前の飲食業と何も変わっていないです。

リーマンショック以前は個人店でもちょっと商品に特徴があればたくさんのお客様を呼べて、簡単に儲けられました。でも今は時代が変わっています。

車も空間もシェアでOK、恋人だってレンタル彼女でOKな人がいる時代ですよ。

そして美味しい料理が食べられる店はいくらでもある。食べ飽きてる。安く商品を出せば人は集まるけどそれはただ安いからってだけ。

そんな時代なのにリーマンショック以前と同じゴールに注目していては、うまく行かない方が自然だと思いませんか?

では、

今の時代に個人の飲食店が注目すべきものはなにか?

という話になるのですが、

答えは「お客様との関係性」。もっと分かりやすい言葉でいうと「つながり」です。

「つながりに注目する」とはどういうことかいうと、自分の店にくるお客様がふだん何に困っているか?飲食店での食事を通してどうなりたいと思っているのか?この部分に注目して、商品づくりやサービス提供を継続的に行うことです。

それを行う場合、お店から発信するべきはこんなメッセージになります。

「自分と関わっているとあなたの生活はこんな風にグレードアップできますよ」

お客様はそのメッセージに反応し来店します。そして実際に生活をグレードアップし続けてくれてる限りリピートし続けます。

お客様にとっては自分にプラスになることだから、無視できないんです。

もちろん商品もサービスもグレードアップさせ続けないとダメですよ。

そしてSNSやウェブサイトも、お客様とのつながりを維持するために利用するのが正しい使い方です。

この考え方を理解すると、

「オレの料理美味いぜ〜。食べにきな」なんてメッセージを発信することが、いかに時代に合っていないか分かると思います。

今の時代にあった個人店の具体的なSNS・ウェブサイトの使い方についてはまた別の記事でお伝えします。

「それでもやっぱり飲食店は『味』だ!」と考える方への捕捉

「オレの店のお客様はみんなオレの料理を好きで来てくれてる。口を揃えて美味いって言ってくれる」

そういう方も一度試しに「そうじゃないケース」を想像してみてください。

そもそもお客様が商品にはそこまでのクオリティを求めていなくて、お店の雰囲気が好きとか、店主とのトークが好きとか、そういうケースって実際よくあります。

「味」にこだわっているといわゆる「バカの壁」ができてしまって、それ以外のケースを想像できなくなってしまいます。

「バカの壁」の内側に収まらないためにも、たとえば「お客様が『味』以外で、自分の店から得ているもの(便益)はなんなのか?」を想像してみてください。

「料理の味が好きなんだよ」と口ではいっているお客様も、実は「味」そのものではなくて、「味の追求に夢中になっているシェフの生き様」がお客様の琴線に触れているのかも知れませんよ。

その場合、SNSやウェブサイトなどで配信すべきは「味の追求をがんばってるオレ」ということになります(実際のところかなりレアなケースだとは思いますが)。